Webデザイナーはなくなるのか|AIで消える作業と残る仕事

Web制作とAI 公開 2026.07.21 更新 2026.07.18 監修: 橋本雄太郎(NOTE INC.)
Webデザイナーはなくなるのか

「AIが進化したら、Webデザイナーの仕事はなくなるのではないか」。ノーコードツールやAIでWebサイトやLPが作れる様子を見て、そう不安になる人は少なくありません。「末路」「後悔」「AIデザイナー」といった言葉で検索する人も増えています。

この記事では、その不安を一つずつ整理します。結論から言えば、なくなるのは仕事の中の「一部の作業」であって、Webデザイナーという職業そのものではありません。何が消えて、何が残るのかを、公的なデータと、私たち自身がAIツールで制作をしてきた経験をもとに、具体的にお伝えします。バラバラに語られがちな不安を、この1本で見通せるようにします。

「Webデザイナーはなくなる」と言われる理由

まず、なぜ「なくなる」と言われるのかを整理します。理由は大きく3つあります。1つ目は、ノーコードツールやAIの普及です。コードを書かなくてもサイトが作れるサービスや、指示するだけでデザインの案が出てくるAIが増えました。2つ目は、参入する人が増えたことです。Webデザインは比較的始めやすいため、書き手ならぬ作り手が多く、案件の取り合いになりやすい状況があります。3つ目は、求められるスキルが上がっていることです。ただ見た目を作るだけでは足りず、成果につなげる設計力まで求められるようになりました。

これらは、どれも実際に起きている変化です。だからこそ不安になるのは当然です。ただ、この変化を「職業がなくなる」と受け取るか、「仕事の中身が変わる」と受け取るかで、これからの動き方は大きく変わります。

AIで実際にできること、できないこと

不安を正しく捉えるには、AIが実際に何をどこまでできるのかを知ることが近道です。ここは、私たち自身が制作の現場で使ってきた経験からお話しします。私たちは専門のコーダーやデザイナーだけのチームではありませんが、AIツールを使って、自社サービスのLPや問い合わせフォームを実際に実装してきました。その経験から見えた線引きを、正直に共有します。

AIが得意なのは、決まった枠の中で形にする作業です。バナーの生成、LPのたたき台づくり、デザインの案からHTMLやCSSへの変換の補助、こうした作業はAIが速くこなします。実際、コードを一から手で書かなくても、AIに指示して形にできる範囲は、思っていたより広いというのが率直な感想です。

一方で、AIに任せられない部分もはっきりしています。お客さまが本当に困っていることを聞き出すこと、そもそも何を作るべきかを決めること、ブランドの世界観を表現すること、公開後の運用で何を直すか判断すること。これらは、AIに指示を出す前の段階の仕事で、人がやるしかありません。AIは、決まったものを速く作る道具であって、何を作るかを決める仕事は代わりに担えないのです。

AIツールで私たちが実際に作ったもの

具体的にお話しします。私たちは、自社サービスの案内ページや、問い合わせを受け付けるフォームを、AIツールを使って実装しました。以前なら専門のコーダーに依頼していたような部分も、AIに指示を出しながら形にできました。デザインのたたき台を作り、それをコードに落とし込み、細かい調整をする、という流れの多くを、AIが助けてくれます。

ただ、作りながら痛感したのは、AIに丸投げでは完成しないことです。どんなページにすれば問い合わせが増えるのか、誰に何を伝えるのか。この設計は、AIに指示を出す前に人が決めなければなりません。AIは、決めたことを速く形にする力は高いのですが、何を作るべきかを考える部分は、こちらが担う必要がありました。ここに、これからのデザイナーの役割が残っていると感じます。

消える作業と残る仕事を分けて見る

「なくなる」を正しく捉えるには、職業ではなく作業の単位で分けて考えるのが有効です。次の表に、AIの影響を受けやすい作業と、人に残りやすい仕事を整理しました。

AIの影響を受けやすい作業 人に残りやすい仕事
テンプレート通りのサイト量産 使いやすさを設計するUI/UX
定型的なバナーの作成 お客さまの課題を聞き出す
デザインからHTML/CSSへの単純変換 ブランドの世界観の表現
指示通りに作るだけの制作 成果につなげるマーケティング設計

左側の作業だけを続けていると、AIとの競争に巻き込まれ、単価も下がっていきます。右側の仕事に自分の時間を移せるかどうかが、これからの分かれ目です。同じWebデザイナーでも、どちらに軸足を置くかで、未来は大きく変わります。

データで見る、消える作業と残る仕事

もう少し引いた視点で、公的なデータも見ておきます。よく引用されるのが、野村総合研究所が2015年に発表した「労働人口の約49%」という数字です。これは、10年から20年後に技術的には代替できる可能性が高い職業に就く人の割合を推計したものです。ただし、この49%は「仕事の半分がなくなる」という意味ではありません。技術的に可能というだけで、その全てが自動化されるとも、49%の人が失業するとも言っていません。

世界経済フォーラムが2025年に公表した雇用の見通しでは、生成AIの影響で減る職種の中に、グラフィックデザイナーが新しく挙げられました。一方で、最も減るとされたのは、データ入力などの事務作業です。ここからも、影響を受けるのは「作業」であって、デザインやものづくりの仕事が丸ごと消えるわけではないことが読み取れます。消えるのは定型的な作業、残るのは判断や創造が必要な仕事、という整理になります。

Webデザイナーの「末路」は本当か

「Webデザイナー 末路」と検索すると、待遇の厳しさや、続けられずに離れていく人の話が出てきます。こうした声があるのは事実です。ただ、その多くは、AIに仕事を奪われたからではなく、先ほど述べた「参入者が増えて、単純な案件の単価が下がった」ことが背景にあります。

言い換えると、末路とされる状況に陥りやすいのは、誰でもできる定型的な制作だけを続けているケースです。テンプレート通りのサイトを、数をこなして安く請け負う。この働き方は、AIとノーコードの普及で、これからさらに厳しくなります。逆に、課題解決や設計まで踏み込めるデザイナーは、末路とは違う道を歩んでいます。末路かどうかを分けるのは、AIの進化そのものではなく、どんな仕事をしているかです。

「AIデザイナー」に仕事を奪われるのか

「AIデザイナー」という言葉も、不安をあおります。ですが、AIデザイナーとは、意思を持った誰かではなく、あくまでツールです。ツールが人の仕事を一方的に奪うのではなく、そのツールを使いこなす人が、使わない人より速く多く仕事をこなす、というのが実際に起きていることです。

私たちがAIツールでLPを実装できたように、これからは「AIを使って作る側」に回れるかどうかが分かれ目になります。AIを避けて手作業にこだわるより、AIに任せられる部分は任せ、自分は課題解決や設計に集中する。そうすれば、AIは奪う相手ではなく、仕事を速める相棒になります。AIをどう実務に組み込むかは、WebデザイナーのAI活用Webデザインの工程でAIを使う方法でも具体的に扱っています。

後悔しないための、これからの動き方

「この仕事を選んで後悔しないか」という不安に対して、取れる動き方は決まっています。定型的な制作から一歩進んで、AIには任せられない領域に自分の時間を移すことです。具体的には、使いやすさを設計するUI/UXの力、お客さまの課題を聞き出して解決策を形にする力、そして成果につなげるマーケティングの視点です。

これらは、AIが普及するほど価値が上がる部分です。あわせて、AIツールを使いこなす力を身につければ、作業は速く、提案は深く、という両方が手に入ります。後悔を避ける近道は、AIを恐れて立ち止まることではなく、AIを使いながら、人にしかできない領域へ軸足を移すことです。

AI時代に伸びるWebデザイナーの3つの力

これからも選ばれるWebデザイナーには、共通して伸ばしている力があります。大きく3つに整理できます。

1つ目は、使いやすさを設計する力です。見た目の美しさだけでなく、訪れた人が迷わず目的にたどり着ける導線を設計できると、成果に直結します。この設計は、AIが出す一般的な案では代わりになりません。2つ目は、課題を聞き出して解決策にする力です。お客さまが「こうしたい」と言葉にできない部分まで引き出し、それをデザインで解決する。ここは人と人のやり取りが土台なので、AIには任せられません。

3つ目は、AIを使いこなす力です。1つ目と2つ目に集中するために、作業はAIに任せて速く済ませます。AIツールでたたき台を作り、変換や調整を助けてもらう。空いた時間を設計と提案に使えば、同じ時間でより深い仕事ができます。この3つは、どれもAIが普及するほど価値が上がります。恐れて立ち止まるより、この方向に力を伸ばすことが、後悔しない道につながります。

これからのWebデザイナー・制作者が取る道

ここまでの話は、Webデザイナーに限りません。コードを書くコーダーや、制作を請け負う会社にも、同じ変化が訪れています。それぞれの立場での動き方は、次の記事でも詳しく扱っています。

コードを書く仕事がどう変わるかはコーダーの仕事はAIでなくなるのか、制作の工程でAIをどう使うかはWebデザインとAI、受託を中心とする制作会社の今後はWeb制作会社はなくなるのかにまとめました。自分の立場に近いものから読んでみてください。AIで働き方がどう変わるか全体を知りたい場合は、ライター向けですがAIでライターの仕事はなくなるのかも考え方の参考になります。

よくある質問

未経験からWebデザイナーを目指すのは、今からでは遅いですか

遅くはありません。ただし、テンプレート通りの制作だけを覚える方向は、これから厳しくなります。最初からAIツールを使いこなす前提で、課題解決や設計の力を身につけていくと、AIの普及が追い風になります。

AIで誰でもサイトが作れるなら、プロは不要になりませんか

なりません。AIで作れるのは、決まった枠の中のものです。何を作るべきかを決め、お客さまの課題を解決し、成果につなげる部分は、プロの仕事として残ります。むしろ、AIで作れるものが増えるほど、その一歩先を担える人の価値は上がります。

AIを使うのは、デザイナーとして「逃げ」ではないですか

逃げではありません。AIは道具であり、使いこなすことは技術の1つです。作業を速めたぶん、設計や提案に時間をかけられます。手作業にこだわることより、良い成果を出すことのほうが、お客さまにとっては価値があります。

出典: 総務省「平成30年版 情報通信白書」(野村総合研究所・オックスフォード大学の共同研究を引用)/世界経済フォーラム「Future of Jobs Report 2025」。労働人口の約49%は「技術的に代替可能な確率が高い職業に就く人の割合」であり、失業率の予測ではありません。AIツールでできる範囲についての記述は、当サイト運営元が自社サービスの制作で実際にAIツールを用いた経験にもとづくものです。

この記事の監修者
橋本雄太郎 / NOTE INC. 代表
SEO歴15年以上。Webライティング・コンテンツディレクション10年以上。自社・クライアント合わせて100メディア以上の立ち上げとグロースを経験。